Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
「ほい、しまった。いや、串戯じゃない。しっかり頼むぜ。」
と、男衆は欄干をトントン叩く。
あせる、と見えて、むらむらと紋が騒ぐ、と月影ばかり藻が分れて、端を探り探り手が掛った。と思うと、ずぼりと出る。
「蛙だと青柳硯と云うんです。」
「まったくさ。」
十七
けれども、その時もし遂げなかった。
「ああ、惜い。」
男衆も共に、ただ一息と思う処で、亀の、どぶりと沈むごとに、思わず声を掛けて、手のものを落す心地で。
「執念深いもんですね。」
「あれ迄にしたんだ、揚げてやりたい。が、もう弱ったかな。」
と言う間もなかった。
この時は、手の鱗も逆立つまで、しゃっきりと、爪を大きく開ける、と甲の揺ぐばかり力が入って、その手を扁平く板について、白く乾いた小さな亀の背に掛けた。
「ははあ、考えた。」
「あいつを力に取って伸上るんです、や、や、どッこい。やれ情ない。」
ざぶりと他愛なく、またもや沈む。
男衆が時計を視た。
「もう二時半です、これから中の島を廻るんですから、徐々帰りましょう。」
「しかし、何だか、揚るのを見ないじゃ気が残るようだね。」
「え、私も気になりますがね、だって、日が暮れるまで掛るかも知れませんから。