Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
「ああ、わやく云う事やない。……貴方、その疵、ほんとにもう疼痛はないか。こないした嬉しさに、ずきずきしたかて忘らりょう。けど、疵は刻んで消えまいな。私が傍に居たものを。美津さんの大事な男に、怪我させて済まなんだな。
そやけど、美津さん、怨みにばかり、思いやすな。何百人か人目の前で、打擲されて、熟と堪えていやはったも、辛抱しとげて、貴女と一所に、添遂げたいばかりなんえ。そしたら、男の心中の極印打ったも同じ事、喜んだかて可いのどす。」
お美津は堪えず、目に袖を当てようとした。が、朱鷺色衣に裏白きは、神の前なる薄紅梅、涙に濡らすは勿体ない。緋縮緬を手に搦む、襦袢は席の乱れとて、強いて堪えた頬の靨に、前髪の艶しとしとと。
お珊は眦を多一に返して、
「な、多一さんもそうだすやろな。」
「はい!」と聞返すようにする。
「丸官はんに、柿の核吹かけられたり、口車に綱つけて廊下を引摺廻されたり、羅宇のポッキリ折れたまで、そないに打擲されやして、死身になって堪えなはったも、誰にした辛抱でもない、皆、美津さんのためやろな。」
「…………」
「なあ、貴方、」
「…………」
「ええ、多一さん、新枕の初言葉と、私もここでちゃんと聞く。