Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
芸妓、舞妓は左右に開く。
その時、膝に手を支いて、
「……ま猿めでとうのう仕る、踊るが手許立廻り、肩に小腰をゆすり合せ、静やかに舞うたりけり……」
声を張った、扇拍子、畳を軽く拍ちながら、「筑紫下りの西国船、艫に八挺、舳に八挺、十六挺の櫓櫂を立てて……」
「やんややんや。ああ惜い、太夫が居らぬ。千代鶴やい、猿になれ。一若、立たぬか、立たぬか、此奴。ええ! 婆どもでまけてやろう、古猿になれ、此奴等……立たぬな、おのれ。」
と立身上りに、盞を取って投げると、杯洗の縁にカチリと砕けて、颯と欠らが四辺に散った。
色めき白ける燈に、一重瞼の目を清しく、美津は伏せたる面を上げた。
「ああ、皆さん、私が猿を舞いまっせ。旦那さん、男のためどす。畜生になってな、私が天王寺の銀杏の下で、トントン踊って、養うよってな。世帯せいでも大事ない、もう貴下、多一さんを虐めんとおくれやす。
ちゃと隙もろうて去ぬよって、多一さん、さあ、唄いいな、続いて、」
と、襟の扇子を衝と抜いて、すらすらと座へ立った。江戸は紫、京は紅、雪の狩衣被けながら、下萌ゆる血の、うら若草、萌黄は難波の色である。