Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.935 Zeichen · 18 Bildschirme
から驚嘆感服せしめる場合も確かに在り得るのだ。「怖い」と「偉い」とがまだ分化していない場合が多く、しかし何時でもそうかと云うに、必ずしもそう一律には行かないように思われる。要するに、私にはまだ島民というものが呑みこめないのだ。そうして、この島民の心理や生活感情の不可解さは、私にとって、彼等に接することが多くなればなる程益々増して行く。南洋に来た最初の年よりも三年目の方が、三年目より五年目の方が、土人の気持は私にとって一層不可解になって来た。
勿論「怖れ」と「敬い」との混同は我々文明人にもあるとは云える。ただ其の程度と現れ方とが非常に違うだけで。だから、此の点に就いての彼等の態度もそれ程分らぬことはないと、強いて言えば言えるかも知れぬ。アンガウル島へ燐鉱掘りに狩出されて行く良人を浜に見送る島民の女は、舟の纜に縋ってよよと泣き崩れる。夫の乗った舟が水平線の彼方に消えても、彼女は涙に濡れたまま其の場を立ち去らない。誠に松浦佐用姫も斯くやと思われるばかりである。二時間後には、しかし、此の可憐な妻は、早くも近処の青年の一人と肉体的な交渉をもっているであろう。