Japanische Klassiker mit Furigana
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なんとうたん
南島譚
Lesen Sie 南島譚 (なんとうたん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.434 Zeichen · 11 Bildschirme
彼は事の意外に驚いた。夢の中ながら、夢ではないかと疑った。何か不安で仕方が無い。
翌朝、目が醒めると、彼はやはり屋根が破れ柱の歪んだ何時もの物置小舎の隅に寝ていた。珍しく、朝鳥の鳴く音にも気付かず寝過ごしたので、家人の一人に酷く叩かれた。
次の夜、夢の中で彼は又長老になった。今度は彼も前夜程驚かない。下僕に命令する言葉も前夜よりは大分横柄になって来た。食卓には今度も美味佳肴が堆く載っている。妻は筋骨の逞しい申し分の無い美人だし、章魚の木の葉で編んだ新しい呉蓙の敷き心地もヒヤヒヤと冷たくて誠に宜しい。しかし、朝になると、依然として汚ない小舎の中で目を醒ました。一日中烈しい労働に追い使われ、食物としてはクカオ芋の尻尾と魚のあらとしか与えられないことも今迄通りである。
次の晩も、次の次の晩も、それから毎晩続いて、哀れな下僕は夢の中で長老になった。彼の長老ぶりは次第に板について来た。御馳走を見ても、もう初めの頃のように浅間しくガツガツするようなことは無い。妻との間に争いをしたことも度重なった。妻以外の女に手出しが出来ることを知ってからも久しくなる。島民等を頤使して、舟庫を作らせたり祭祀をとり行ったりもした。