Japanische Klassiker mit Furigana
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なんきょくのかいじ
南極の怪事
押川 春浪
Lesen Sie 南極の怪事 (なんきょくのかいじ) von 押川 春浪 (おしかわしゅんろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.508 Zeichen · 33 Bildschirme
水夫といえども、この場合檣の上一間以上昇らば、魔神のごとき疾風に吹飛ばされて海中に落ちん、かかる疾風に追われて、船はいまじつに想像する事も出来ぬ速力にて走りおるなり、走ると云わんよりは飛べるなり、天空を飛べるか海上を走れるかほとんど分らず、泡立つ波、舞いあがる水煙はあたかも雲ににたり。
十
時にたちまち見る、暗憺たる海上に一道の光ゆらゆらと漂うを、オオ光! 光! この場合光ほど懐かしきものはなし、あれは太陽がふたたび我が眼前に現われしかと見直せば、何時の間にかその光は波間に消えて跡もなし、これ南極にときどき現われると云う、海上の燦火ならん、余はもはや絶望の声も出でず、かかる間にも船の走る事はますます速く、船の進むにしたがい寒気はいよいよ激しく我身に迫る、余はついにたえずふたたび船底に逃げこみしが、余の腹は飢えたりといえどももはや食を取らんとは思わず、ただちに船尾の倉庫に駆けつけ、あくまで着たるが上にもさらに毛布を重ねたり、されどなお寒さは凌ぐあたわず、一刻々々あたかも時計の針の刻み込むごとく寒気の増しゆくは、船の一刻々々大氷山に近づく