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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうやらそういう栄華の日が、すぐ間近く迫ったようで」

「結構なことでございます」

「これまでは苦労を致しました」

「ほんとにお気の毒でございました」

「いえいえ私より民弥さんの方が、一層お気の毒でございました」

「何の何のどう致しまして、弁才坊様あなたの方が、一層ご苦労なさいました」

「苦は楽の種、苦は楽の種、アッハハハ楽になったら、この三年間の苦しみが、笑い話になりましょう」

「そうしたいものでございます」

「きっとなります。きっとなります」

「お父様!」とここで娘の民弥は俄に調子を改めたが、四辺を憚った鋭い声で「遂げられたのでございましょうか? 年月重ねられたご研究が?」

「うむ」とこれも弁才坊、がぜん態度を一変したが「民弥、遂げたぞ、ようやくのことで!」

「で、その旨信長公へ?」

「うむ、昨日云ってやった!」

「では追っつけお使者が参り?」

「そうだ、この私の研究材料をお買い上げ下さるに相違ない」

「ああそうなったら私達は……」

「昔の身分に返れるのだ」

ここで親子は沈黙し、その眼と眼とを見合せた。

まだ梵鐘が鳴っている。

讃美歌の声も聞こえている。

庭の桜が夕風に連れ、ホロホロホロホロと散ってくる。