Japanische Klassiker mit Furigana
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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme
オットいけねえ、軽はずみな、またまた口が辷ってしまった。アッハハハ馬鹿な話で、何のお嬢様、人形などが、何の物など云いましょう。へいへい物など云いませんとも、いえナニ物でも云いそうな程、さも活々とよく出来た、結構な人形でございますので、そこで高値にいただこうと、こういう次第なのでございますよ。では」と云うと猪右衛門は懐中へ腕を差し込んだが、ヒョイと抜き出すと掌の上に、小判を一枚のっけている。「まず小判、お取りなすって」もう一度懐中へ手を入れたが、取り出したのは青差である。「これは青差、お取りなすって」
「はいはい確かに受け取りました」
こう云うと民弥は窓越しに、小判と青差とを受け取ったが、引き返すと卓の側へ行き、卓に載せてある人形を、優しく胸へ抱きかかえた。
と、窓から人形を、猪右衛門へ渡したものである。
両手で受け取った猪右衛門は謂うところの北叟笑、そいつを頬へ浮かべたが、「これで取引は済みました。ではお嬢様え、ご免なすって」
「可愛い人形でございます、大切に扱って下さいまし」
永年の間傍へ置き、慣れ馴染んで来た人形である。それが売られて行くのである。