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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

「人形を返せ! 人形を返せ!」

しかし玄女も猪右衛門も、手下と雑って逃げるばかりで、返辞をしようともしなかった。

「残念々々、人形をみすみす取られる、みすみす取られる!」

「右近丸様!」と血走った声! 民弥は元気を取り返したらしい。

「追っかけましょうどこまでも! 取り返しましょう人形を!」

「しかし」と躊躇た右近丸、「走れますかな、貴女には?」

「無理にも走って参ります! 途中で血を吐き死にましても、きっと走って参ります! 永年の間お父様が、苦心して調べた唐寺の謎、それを解き明かした研究材料、それを持っている人形を、妾の粗相でなくなしては、父に申し訳ございません! どこどこ迄も追い詰めて、取り返さなければなりません」

「立派な決心!」と右近丸は感激した声で叫んだが「それでは一緒に!」

「追っかけましょう!」

「汝等待てーッ」と右近丸は叫びを上げながら走り出した。

負けずに民弥もひた走った。

右近丸の持った血染めの太刀、民弥の持った血染めの懐刀、走るに連れて月光を弾き、凄じくキラキラ反射する。朧の月夜である。四辺がボッと仄明い。薄い紗布を張ったようだ。

不意に、玄女は振り返った。