Japanische Klassiker mit Furigana
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なんろ
南路
宮本 百合子
Lesen Sie 南路 (なんろ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.813 Zeichen · 63 Bildschirme
故国の停車場などで見馴れる情景が、次第に自分等の心持を寛(くつ)ろがせた。
二人三人、後から来た人が内部の肱掛椅子を占める。自分は、低い声で、冗談を云い、珍らしく声を合わせて笑った。
一人の黒奴の女の子が、群を離れて此方を見ている。その髪が素晴らしい。黒く、ちりちり、おちぢれのようになった毛髪を、何としたことか「あぶ、はち、とんぼ」を三倍した位、小分けに処々で結んでいる、それも、ただ結んで止めたばかりでなく、一々先を丸めて色々なリボンをつけてあるので、下の小さい顔は、宛然、原始的な草花を山盛りに飾った素焼壺のように見えるのである。仔細らしく頭を曲げ、何か見恍(みと)れている様子は、実に可愛ゆく、滑稽である。
自分が、五つか六つで、一かど大人に感じ、唐人髷の附け髷を結って貰っては、叔母の長襦袢を引ずっていた頃を思い出し、思わず軽い冗談が、唇をついて出たのであった。
微笑を口辺に湛えたまま、片手を欄干にかけて下を覗いていると、右手の昇降口に近く立っている良人の処へ、一人の男が近づいて来た。
手真似で彼を呼び、上と下とで、延び上り、身を屈(かが)め何か云っている。