Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なんろ
南路
宮本 百合子
Lesen Sie 南路 (なんろ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.813 Zeichen · 63 Bildschirme
自分は、はっきりと、遮断された闇の中に、先刻ちらりと見た鳥打ち帽の浮浪人らしい男の姿を思い浮べた。どこかの隅から狙われていそうで、何となく心持が悪い。けれども、まさか、ほんとに何をしようというのではないだろう。
「大丈夫よ。お金が貰えなかったから、一寸面白半分に脅かしたのよ」
「そうでしょう。けれども、心持が悪いからね。貴女がいなければ、そんなことは何とも思わないが。……」
よく見る活動写真の或る場面がふと自分の眼に浮んで来た。それと同時に、切迫した不気味さは、忽ち当面から去ってしまった。
「ちょうど、夜中にテキサスに入るから、油断なさると大変よ。私が攫(さら)われでもすると、△△△氏追撃の光景でござい、をお遣りにならなければならないわ」
「馬鹿な!」
私共は、怖いにしては、かなり陽気な苦笑いをした。
けれども、停車場を離れ切るまで、さすがにまたとデックに立つ心持はしなかった。
六
十一月二十一日。
昨夜の脅し文句は、もちろん現実に何の形をも顕わさなかった。周囲が明るくなってから考えて見れば、その男は何心なく云った挨拶を、却って良人の方が、旅人らしい神経過敏で受取ったのではあるまいか、とさえ思われる。