Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さんぐうがえり
参宮がえり
田中 貢太郎
Lesen Sie 参宮がえり (さんぐうがえり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.325 Zeichen · 15 Bildschirme
「そうですかなあ」
忰は女に心を引きつけられていて父親の云ったことははっきり判らなかった。
「あんな者を、親や兄弟に持っておる、あの小供が可哀そうじゃな」
女の子が飯鉢と土瓶を持って来たので父親は澄ました顔をして残りの酒を飲んだ。
「わしも飯をもらおう。良い気もちになった」
「まだお酒がすこしありますが、沸かしましょうか」
「もうけっこう、わしは一合で多すぎるくらいじゃ」
「では、ここへ飯鉢と茶を置きますから、どうぞごゆっくり」
女は艫の方へ引きさがって往った。忰はその女の小さな足をちょっと見てから魚の肉をつっついて口に入れた。魚の肉は旨かった。忰は女の見ないうちにと思って急いで飯をかき込んだ。
忰はもう箸を置いていた。彼は父親が落ちつき澄まして飯を喫っているのが憎いような気がした。
「お父さん、舟の中はなんだかきゅうくつじゃありませんか」
父親は旨そうにむしゃむしゃと飯を喫っていて顔をあげなかった。
「今晩、一晩の辛抱じゃ、明日の晩は、ゆっくりと手足を延ばして休めるぞ」
「陸へあがりたいなあ」
「こんな処で、宿屋へ入ったら、高い金を執られる、もう一晩の辛抱じゃ」