Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうじんいっかのし
友人一家の死
松崎 天民
Lesen Sie 友人一家の死 (ゆうじんいっかのし) von 松崎 天民 (まつざきてんみん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.805 Zeichen · 14 Bildschirme
その頃の僕は、恥しい話であるが、五円の香典を送るのも、不如意勝であった。
「東京へ帰ったら、一度訪ねて行こう」
そう思っている間に、今井は再び上京して、玉川電車沿線の三軒家に借家して、相変らず専売局に勤めていた。大正五年となり、六年となったが、僕は旧友を訪ねて、昔話をするような気持になれず、今井には依然として、無沙汰勝の月日を送っていた。
○
K君――誰が何と云っても、世に怖るべきは結核性の病気である。僕の結婚当時から、腹が痛むと云って食べ物に注意していた今井は、何時の間にか腸結核に罹って、不治の病床に呻吟していた。しかもそれを僕が初めて知ったのは、今朝死亡したと云う日の正午頃であった。
僕は愕然として、泣くに泣かれぬような心持がした。自分が長い間無沙汰していた事などは忘れて、病気している事位は、予じめ知らせてくれても宜さ相なものにと、驚きもし悲しみもした。――結婚の世話になって以来、碌にしみじみ話をする機会も無い間に、今井は杳然として死だ。――こう思うと、僕はこの胸を絞め付けられるような心地がして、出そうになった涙も、容易には流れて出なかった。