Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とりかえしものがたり

取返し物語

岡本 かの子

Lesen Sie 取返し物語 (とりかえしものがたり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.882 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

(涙にむせぶ)

おくみ(いそがしく手探りで源兵衛の頬を探り)『や、や、源兵衛さん、こなた泣いていやしゃんすな。先程呉れたお珠数と言い、わたしのこの胸騒ぎ、またいまのお言葉。こりゃ迂濶にお傍は離れられぬ。こなた何か、わたしに隠し立てをしていなさるな』(珠数を取出す)

源兵衛(おくみの手を払い涙を拭いて)『は、は、は、は、何の隠し立てをしてよいものか。世の譬えにも何ぞといえば夫婦は二世と言うではないか。離れぬ、往なぬとあまりそなたが云い張るゆえ今別れても末は一つの極楽浄土とわしが言ったは、ありゃほんの口のはずみじゃ』

おくみ『いえいえ弾みではございません。それに先程から折々何ぞ思い詰めて居るらしいこなたのかくし溜息。さあ、言って下され。心が急く。それともこなたが言えずば、いっそのこと、こなたの家へ馳せて行き、ととさん、かかさんに理由を話し、のっぴきさせず押しかけ女房。瞬きする間もおまえのお傍は離れません。もともと二人は許嫁、誰に遠慮も要らぬ。わたしゃもう、御主家へは帰りますまい』

源兵衛『こりゃまた乱暴な。時節が来ぬのに押しかけ女房とは――。わしに言い損じもあらばあやまりもしよう。