Japanische Klassiker mit Furigana
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Lesen Sie 古き小画 (ふるきミニエチュア) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.298 Zeichen · 140 Bildschirme
自分の目的に早く達するためには、あの時、あの老戦士との勝負をさっさと片づけた方が好都合であった。本当の愛からでもなく、ほんの心のはずみでああいうことになり、而も、その結果について、責任ある説明を要求される立場にある自分を考えると、スーラーブはくしゃくしゃした。
前方には、陣地で燃く篝火のチラチラ光る焔が見え、パチパチ木のはぜる音が聞え始めた。
スーラーブは、自分の心にある妙な優柔不断めいたものを、しんから苦々しく思った。対手が真実父親であったため、自分の気持にああいう現象が起ったのではなかろうかなどという疑問は毛頭起らなかった。彼は、父が、自分のような青二才に敗けようなどと夢想もしなかった。
四十四
けれどもこの時、スーラーブが後を振かえり、透視力のある瞳でイランの陣を瞰下すことが出来たとしたら、彼は思いがけない一つの光景を見出しただろう。
混雑の頂上にあるイランの陣の間を、スーラーブの膝の下にされた今日の老戦士が、一人で、いそいで、自分の幕営に戻ろうとしていた。
彼も、他の将と顔を合せるのを厭うらしく、物蔭を、厳しい様子で歩いた。