Japanische Klassiker mit Furigana
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
Lesen Sie 古き小画 (ふるきミニエチュア) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.298 Zeichen · 140 Bildschirme
驚きの叫びと、恐怖の涙が室に満ちた。ターミナは、激しく涙を流しながらスーラーブの手を執り、自分の頬に押し当て歎いた。
「ああ、ああ、卿を楽く活かそうと思って、却って殺すことになってしまった。スーラーブ、よく覚えていて下さい。卿の屍を焼く日は、私の葬られる日ですよ、母を思うならどうぞ無事な姿を見せて下さい。卿が無事に戻る迄、私は、城の扉も閉めさせまい」
二十
母の悲歎は、強くスーラーブの心を痛めた。彼にとってそれが苦しいのは、もう自分の決心は到底動かせないもので、たとい母がそのために泣き死んでも、止めることは出来ないと解っているからであった。彼の親切な慰めもこれが最後かという悲しさのために、却って、ターミナにとって堪え難いものらしく見えた。スーラーブは、愛を籠め必要な説明と希望とを与えた後、出立迄、出来るだけそのことには触れない方針をとった。内房の女達は、やがて黙って、折々不安の吐息を洩し、眼頭に涙をためながら守袋を縫ったり、鞍布の刺繍にとりかかり始めた。是等の沈み勝な湿っぽい情景に拘らず、時期が迫って来るにつれ、スーラーブの全身には、益々精力が充ち満ち、心は、満を持した弓のように張り切った。