Japanische Klassiker mit Furigana
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ふるいど
古井戸
豊島 与志雄
Lesen Sie 古井戸 (ふるいど) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.433 Zeichen · 43 Bildschirme
その松木全体の存在が、彼には堪え難いもののように思えてきた。
日に焼けた浅黒い、いつも陰欝な没表情な額、さほどの年令でもないのに、ぽつぽつ白いのの見える五分刈の荒い頭髪、時によって妙に濁ったり鋭く光ったりする眼、頑丈そうな歯並と固い唇、太い頸筋、長い胴体、短い足、どこと云って異常な点はないが、見れば見るほど憎々しいその身体全体が、彼には堪え難かった。
それが、そこに、電燈の光の下に、蟇蛙のようにのっそりと構えこんでいた。存在することだけで既に罪悪のようだった。
馬鹿馬鹿しいと思いながらも、彼はやはりその方へばかり意識が向いていった。手を動かし足を動かし、一寸身動きをすることまで、一々相手に反射するような気持だった。じっと我慢をしていると、額から脂汗がにじみ出てきそうだった。
何か機会があったら、一寸したきっかけがあったら、ぶつかっていってやろうと思う、その思いだけで、自分はどんなことを仕出来すか分らないという恐怖が湧いた。
房子も光子も隅の方にすくんでいた。
その房子を松木は※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)でさし招いて、昼間から井戸に冷しておいた西瓜を切らした。