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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふるいど

古井戸

豊島 与志雄

Lesen Sie 古井戸 (ふるいど) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.433 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「どこに。」

「そこの、三畳の、あなたの押入の中に。」

嬉しそうな笑顔をして、眼をぱちぱちやってみせた。

「そんなことをしたので、私が刀のことをきいても黙ってたんですね。」

うそうそ笑いながら、ふいに彼の首へ飛びついて来た。

「ねえ、あれあたしに頂戴ね。」

「上げてもいいけれど……。」

「下さるの。嬉しい。」

彼の首をきゅーっと抱きしめて、それからひょいと飛びのいて、縁側の手摺を力一杯に揺っていた。

母親に似た顔立で、円いくるくるとした輪廓だったが、母親よりも口元が引緊って、睫の長い眼が澄んで光っていた。耳の根本に小さな黒子があった。

「あら、ここから見ると、あの井戸は綺麗ね。」

いつもよく見てるくせに、初めて見るもののように、眼を見張った。

「あれからお化が出るんですよ。」

彼は初め冗談を云ってみた。

「いやーだ。」

「だって出たでしょう。」

「嘘、嘘。」

彼のところへ飛んで来て口を押えた。

「あたし、これから勉強するの。分らないところ教えて頂戴、ね。」

「ええ。」

そんなことから、光子は始終二階にやって来るようになった。そして呼ばれるまでは降りていかなかった。どうかすると、呼ばれてもなかなか立上ろうとしなかった。