Japanische Klassiker mit Furigana
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ふるむじな
古狢
泉 鏡花
Lesen Sie 古狢 (ふるむじな) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.891 Zeichen · 40 Bildschirme
「……何、考えて見れば、くだらない事なんだが、鹿落は寂しい処だよ。そこを狙ったわけでもないが、来がけに一晩保養をしたがね。真北の海に向って山の中腹にあるんだから、長い板廊下を九十九折とった形に通るんだ。――知っているかも知れないが。――座敷は三階だったけれど、下からは四階ぐらいに当るだろう。晩飯の烏賊と蝦は結構だったし、赤蜻蛉に海の夕霧で、景色もよかったが、もう時節で、しんしんと夜の寒さが身に沁みる。あすこいら一帯に、袖のない夜具だから、四布の綿の厚いのがごつごつ重くって、肩がぞくぞくする。枕許へ熱燗を貰って、硝子盃酒の勢で、それでもぐっすり疲れて寝た。さあ何時頃だったろう。何しろ真夜半だ。厠へ行くのに、裏階子を下りると、これが、頑丈な事は、巨巌を斫開いたようです。下りると、片側に座敷が五つばかり並んで、向うの端だけ客が泊ったらしい。ところが、次の間つきで、奥だけ幽にともれていて、あとが暗い。一方が洗面所で、傍に大きな石の手水鉢がある、跼んで手を洗うように出来ていて、筧で谿河の水を引くらしい……しょろ、しょろ、ちゃぶりと、これはね、座敷で枕にまで響いたんだが、風の声も聞こえない。