Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かわいいやま

可愛い山

石川 欣一

Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.302 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

伝って来た雫が、ここまで来て蝋にぶつかり、その線に添うて横にそれるだろうとの案であった。しばらくはこれも成功したが、間もなく役に立たなくなる。我々は窮屈な思いをしながら、一日中むだ話をして暮した。

次の朝は綺麗に霽れた。雨に洗われた山の空気は、まことに清浄それ自身であった。Mさんはよろこんで、早速草鞋をはいた。しかし一日の雨ごもりで、すっかり気を腐らした私には、もう山に登る気が起らない。もちろん大町へ帰っても、東京へ帰っても仕方がないのだが、同様に、山に登っても仕方がないような気がする。

それに糧食も、一日分の籠城で、少し予定に狂いが来ているはずである。私は帰ると言い出した。慎太郎さんもすぐ賛成した。何でも、同じ白馬に十四度登っても仕方がないというような、大町を立つ前から判り切っていた理窟を申し述べたことを覚えている。かくて我々二人は一行に別れて下山の途についたのである。

私は、いささか恥しかった。というより、自分自身が腹立たしかった。前年、友人二人と約十日にわたる大登山をやり、大町に帰るなりまた慎太郎さんと林蔵と三人で爺から鹿島槍に出かけたのに比して、たった一年間に、何という弱りようをしたものだろうと思ったからである。