Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たいふうのこ

台風の子

小川 未明

Lesen Sie 台風の子 (たいふうのこ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.662 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

「いま台風は、僕の家の上を通りかけるのだ。龍夫くんがくるだろう。」

源吉は、風の比較的当たらない、北窓の戸を開けて空を仰ぐと、地球が動くように、黒雲がぐんぐんと流れている。けれど、またところどころに雲切れがしていて、そこからは、ほの白く光がもれるのでありました。

「龍夫ちゃん!」

源吉は、出るだけの声を張りあげて叫んだ。その声も、暴風に消されて、ほかの人間の耳には入らなかった。そして、窓から差し出した紙の旗は、たちまち雨に破り飛ばされて、竹の棒だけが手に残ったのでした。

「きっと龍夫ちゃんが、持っていったんだ。」

そう思うと、不思議や暗い空に大きな穴が開いて、星の光が、幾つか、ダイヤモンドのごとくかがやきました。

「龍夫ちゃん。」

もう一度、彼は、星に向かって叫んだのでした。

風ばかりでなく、星も、雲も、ことごとく生きていました。そして、ひとすじの細い光線が、空から胸へ突きさしたごとく感じて、真心さえあれば、龍夫が死んだお父さんにあえたであろうように、源吉はいつでも台風の日には龍夫にあえると信じたのでした。

台風の過ぎた、翌日の朝の空色は、いつもよりかもっと、もっときれいでした。