Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
傾国の美人ってしろものをおめえにもとりもってやるから、しっぽを振ってついてきなよ」
「いやです、あっしゃ今から伊豆守さまのお屋敷へ駆け込み訴訟に参りますよ」
「伊豆守さま……? 急にまた、変な人の名まえを引き合いに出したものだが、伊豆守さまっていや、松平のあの殿さまのことかい」
「あたりめえじゃござんせんか。伊豆守さまはふたりとござんせんよ」
「そりゃまた何の駆け込み訴訟に行く考えなんだ」
「知れたこっちゃあござんせんか。もっと早く伊豆守さまがだんなにご新造をお世話しておいてくださいましたら、今になってだんなにこんな気の狂いはおきねえはずなんだからね。あっしゃ今から駆け込んでいって、うんと殿さまに不足をいうつもりですよ。だんなをごひいきなら、ごひいきのように、もっと身のまわりのことをお世話くださったって、ばちゃ当たらねえんだからね」
何かと思ったら、けっきょくそれは右門自身を思う純情からのこととわかりましたので、さすがの捕物名人も、苦笑するともなく苦笑していましたが、しかし伝六のほうはごくのまじめで、いまにもほんとうに駆けだしそうなあんばいでしたから、やむをえずに右門はちょっと本心をにおわしました。