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Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme

Aozora Bunko

――でも、ここの主さんをのぞいては、百万石を積まれてもだれひとりなびいた殿御はござりませぬ。身請けされた仙次さんなぞはいうまでもないこと、一つ家に十日あまり暮らしていても、指一つふれさせないで、主さんにさし上げたこのはだは守り通してござります」

おどろくべき貞操修業者の告白をきいて、右門はいまさらのごとくにその清楚とした遊君薄雪のあでやかさを見つめていましたが、いつにもないことをふいと感慨深げに漏らしました。

「そうか、それは惜しいことをしたな。そなたのようなかたがいると知ったら、わしも清吉どんの果報に少しあやかればよかったにな――」

ふたりが恥ずかしげに顔を伏せていきましたので、右門が追っかけていいました。

「さ、もうこれでわしの仕事は終わった。清吉どんは早くもとの無傷なからだになって、今度はふたりで夫婦達磨の修業をする義務があるゆえ、その香箱を携えて、こよいのうちにも上方へともども出立いたされよ」

なんで若きふたりの喜ばないでいられるべき、おどり狂うようにして右門に感謝の意をのこしながら、すぐと江戸をあとにいたしました。――そのうしろ姿にしぐれそぼふる九月末の、ふけまさった秋の夕やみが、そくそくと迫っていきました。