Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
まで聞きに行ってくる切支丹伴天連の秘法でも心得ていないかぎり、推断に苦しむのは当然なことというべきでありました。
けれども、そういうとき右門には、忘れてならぬ最後の手段がまだ一つあるのです。こんなふうに考えのつかないときや、容易に推断の下せないときは、これまでもしばしばその手を用いましたからむろんご記憶のことと思いますが、ほかでもなくそれはあの碁盤に向かうことなので、だからかれはふと思いつくと、重そうに床の間から愛用のそれなる一式を持ち出して、端然と正座しながら、心気をその一石にこめるごとく、音もほがらかにピシリと石を打ちました。
と――、まことに効果はてきめんとでもいうべきでしたか、一石打ちおろすやいなやに、突然にやにやと笑いだしながら、つぶやくようにいいました。
「なんでえい。とんでもねえだいじなことを忘れてるじゃねえか」
それもたちまちいっさいの氷解がついたもののごとくに、とんだことを忘れているといったものでしたから、はらはらとしていた伝六のおどり上がって悦に入ったことはもちろんのことなので――、
「ちえッ、ありがてえッ。碁盤さまさまだ。じゃ、例のごとく駕籠ですね」