Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
「だんな! ね、だんなえ!」
ささやくような小声ではありましたが、なにごとか重大なことをでもかぎ出してきたとみえて、人目をはばかりながら、ぽんと右門の肩をたたいた者がありました。いうまでもなく、おしゃべり屋の伝六でした。けれども、そういうときのむっつり右門は、まゆげが焦げだしてきてもめったに返事なぞすることではないのでしたから、振り向きもせずにぼんやりと往来の人通りを見詰めておりますと、相手にしないので伝六は少し腹がたったか、ぐいとその肩をこちらへねじ向けて、兄貴をでもたしなめるようにいいました。
「ちえッ。またなんかごきげんがわるいですね。うすみっともねえ。心中の相手を捜すんじゃあるめえし、だんなほどの人気男がぼんやり往来ばたへつら突き出して、なんのざまです。ね、いい事件みつけてきたんですよ」
しかし、右門はぐいと伝六にその顔をねじ向けさせられるにはさせられましたが、依然ぼんやりと小首をかしげて、さもたいくつしきったようにむっつりとおし黙ったままでしたから、心得て伝六がかってにあとをつづけました。
「ようがす、ようがす。そんなにあごがだるけりゃ、あっしがこうやってつっかえ捧になってあげますからね、話の筋だけをお聞きなせえよ。