Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
右門捕物帖
1
切支丹騒動として有名なあの島原の乱――肥前の天草で天草四郎たち天主教徒の一味が起こした騒動ですから一名天草の乱ともいいますが、その島原の乱は騒動の性質が普通のとは違っていたので、起きるから終わるまで当時幕府の要路にあった者は大いに頭を悩ました騒動でした。ことに懸念したのは豊臣の残党で、それを口火に徳川へ恨みを持っている豊家ゆかりの大名たちが、いちどきに謀叛を起こしはしないだろうかという不安から奥州は仙台の伊達一家、中国は長州の毛利一族、九州は薩摩の島津一家、というような太閤恩顧の大々名のところへはこっそりと江戸から隠密を放って、それとなく城内の動静を探らしたくらいでしたが、しかしさいわいなことに、その島原の騒動も、知恵伊豆の出馬によってようやく納まり、乱が起きてからまる四月め、寛永十五年の二月には曲がりなりにも鎮定したので、おひざもとの江戸の町にも久かたぶりに平和がよみがえって、勇みはだの江戸っ子たちには書き入れどきのうららかな春が訪れてまいりました。
いよいよ平和になったとなると、鐘一つ売れぬ日はなし江戸の春――まことに豪儀なものです。