Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
ばりばりという音がしたといったその一語によって、すでになにものかの推定がついたもののごとく、腹の底から絞り出したようなうめき声を発して、じっと廊下先の障子を一本一本巨細に見まわしていましたが、と――果然、その痕跡があった。歴然としてそこの障子の一本に何かつめでひっかきむしったような紙の破れのあとがあったものでしたから、右門の声は突如として力に満ちながらさえだしました。
「切られたその腕は、どうしたのでござる!」
「え! 腕ですかい。腕なら、だんな、ここにころがってますぜ」
さすが伝六もおひざもとの岡っ引き、さしずをうけないうちに先回りして、犯跡の証拠収集に努めていたものか、右門のことばに応じて、庭先からそういう声があったものでしたから、まをおかずに、やっていってみると、いかにも手首はまっかに血を吹いて、これがつい数分まえに人のからだへくっついていたんだろうかと怪しまれるようなぶきみな姿をしながら、縁側つづきの便所のわきに投げすてられてありました。しかも、ひょっと見ると、そこの便所の白壁になにやらべったりと黒い跡がついていたものでしたから、右門はあかりをとりよせて、なにげなくのぞき入りました。