Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme
「こんなもの、なにもありがてえ傷あとでもなんでもねえんじゃごわせんか。ねこかさるにでもひっかかれたつめのあとじゃごわせんか」
その伝六の不平そうなことばを聞いて、右門はしばし瞑黙しながら考えていましたが、わからなければしかたがない、知らせてやろう、といったように、そっと一枚のちいさな紙きれをふところから取り出して、伝六の鼻先へ黙々とさし出しました。見ると、紙片には次のようなうるわしい女文字の水茎のあとが、はっきりと書かれてありました。
「――おあにいさま、おあにいさま。お美しいおかたをはじめてかいま見て、女が恋を――一生一度の恋をいたしまするのは、おわるいことでございましょうか! おあにいさまはおりがあったら江戸からお下りのおかたのお命を奪えとのおいいつけでございましたけれど、そのかたが、そのかたがお美しすぎるためにわたくしの心がみだれましたら、人としてまちがった道でござりましょうか! いいえ、人の道としてではござりませぬ。女として、そのおかたさまにはじめての恋をおぼえましたために、お命をいただくことができませなんだら、わるいことでござりましょうか! おわるいことでござりましょうか!」