Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 221.941 Zeichen · 435 Bildschirme
聞き流しながら、名人はへやのあちらこちらを烱々と見調べていましたが、――と、そのときふと目を射たものは、角あんどんの油やけした紙の表に、なまなましい血をもってべっとりと書かれてあった次のごとき文字です。
「よくもオレにドクを盛りゃがったな。化けて出てやるからそう思え。江戸の小町ムスメは気をつけろ。みんな比丘尼小町に食われちまうぞ」
断末魔の苦しみにあがきもがきながら指先で書きしたためたと見えて、血の色のかすれたところや、べっとりとにじみすぎたところや、判じにくい文字ばかりでしたが、つづり合わせてみると以上のごとき文句が書き残されてありましたので、不審から不審へつづいた事実に、動ぜざること泰山のごとき名人も、いささか凝然となりました。また、これが奇怪不審でなくてなんでありましょうぞ! 手間暇いらず、たわいなく剔抉できるだろうと思われたのはほんのつかのま――がぜんここにいたって、くみしやすしと見えた事件は、二段三段、第四第五の奇々怪々な新しいなぞの幕に包まれてしまったからです。式部小町はどこへ行ったか? 何者が河童権に一服盛ったか? そのことだけですらもすこぶる捨ておきがたき不審であるのに、江戸の小町娘は気をつけろ、比丘尼小町にみな食われちまうぞと、特に書き残されたいぶかしい一句は、なかんずく不審のなかの不審