Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme

Aozora Bunko

「お役は何でござります」

「奥祐筆じゃ」

「奥祐筆……! なるほど、そうでござりましたか」

名人の胸にぴんとよみがえったのは、朝ほどのあの絵図面の字のうますぎたことでした。どうやら、本筋のにおいがしかけてきたのです。

「なるほど、ご祐筆とあっては、ご兄妹でござりまするかおつれ合いでござりまするか知りませぬが、お身よりのご婦人も字がうまいのはあたりまえでござりましょう。あの絵図面をお書きになったご婦人は、この松坂様の何に当たるおかたでござります」

「あの書き手を女とお見破りか!」

「見破ったればこそお尋ねするのでござります。お妹ごでござりまするか」

「いいや、ご内儀じゃ」

「ほほう、ご家内でござりまするか。お年は?」

「わこうござる」

「いくつぐらいでござります」

「二十三、四のはずじゃ」

「お顔は?」

「上の部じゃ」

「なに、上の部!――なるほど、美人でござりまするか。美人とすると――」

事、穏やかでない。いくつかの不審が、急激にわきあがりました。

第一、夫がここで変死をしているというのに、妻なる人がちらりとも顔すら見せないことが不思議です。

妻さえも顔を見せないというのに、目の前のこの若侍が、ただの同役というだけでかくのごとくに力こぶを入れているのが不思議です。