Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme
えへ……だれも見ちゃいないね。このまにちょっと乗ってやるかな。え? だんな。あば敬の大将が来たら、ないしょで知らしておくんなさいよ。ほかの者に見られるぶんにゃかまわねえが、あいつに見られちゃ、これからさきおいらをバカにするからね」
「されないようにじょうずに乗ったらいいじゃないかよ」
「そうはいかねえんだ。おいらの馬術は、何流にもねえ流儀なんだからね。――ほらよ、くろ、くろ! おとなしくしているんだよ。名人が乗るんだから、ヒンヒンはねちゃいけねえぜ」
馬ぐらい乗り手を見分けるものはない。ましてや、乗り手が伝六とあっては、くろも南町ご番所名代のこのひょうきん者をよく知っているとみえて、長い顔をさらにぬうと長くのばして笑ったまま、動こうとしないのです。
「ちぇッ、笑いごっちゃねえんです、だんな。なんとか動くように、おまじないしておくんなさいよ」
「何流にもない流儀とやらでお駆けあそばすさ。おいらに頼むより、馬に頼みな。泣かずにひとりでお遊び」
ひらりと乗ると、馬はあしげの逸物、手綱さばきは八条流、みるみるうちに、右門の姿は、深い霧を縫いながらお馬場をまっすぐ向こうへ矢のように遠のきました。