Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme
「…………」
青い顔でした。黙然として立ち上がると、名人右門は珍しやしんしんとうち沈んで、思いあぐねたようにふらふらと真昼の表口をどこへともなく歩きだしました。あたりまえなことにちがいない。一本つるをつかんだら、ホシを逃がしたことのない右門なのです。それが、いま一歩というところまでたどり着きながら、ばったりと大きな岩にぶつかったのでした。つるはある。手が障子の穴からにゅっとのぞいたというつるはある。しかし、どちらへ掘り下げていったらいいか、喜七いのちの正体は根も見せないのです。
「だめですよ。そこは日本橋だ。何をぼんやりしているんですかよ!」
「…………」
「じろじろと人が見ているじゃござんせんか。日本橋から飛び込んだっても死ねやしませんよ。五十三次東海道へは行かれるが、冥土へ行くなら道が違うんだ。だんならしくもねえ、こっちまでが悲しくなるじゃござんせんか。しっかりおしなせえよ」
だが、名人は黙々、しんしん、そこが日本橋であるのも、橋の上であるのも知らないもののように、ぼんやりとたたずみながら、うち考えたままでした。
もはや策はない……。
ただ疑われるのは、お冬自身がはたして真実の陳述をしているか否かです。