Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ねむのきのかげ

合歓木の蔭

山本 周五郎

Lesen Sie 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.740 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

四月の中旬を過ぎて、七たびめの夜のことであった。男はいつものように綿々とささやき続けたのち、自制のちからの尽きたような調子で、このまま耐え切れなくなったと訴えた。

「それ以上なにもおっしゃいますな」奈尾はおびえたように身震いをした、「さもなければわたくしいってしまいます」

「あなたは私に死ねと云うのですか、私に悶え死にをさせたいのですか」

「あなたは出来ないことをお求めなさいますわ、わたくしもうなにも伺いません、そんなことをおっしゃるのでしたらもうここへもまいることはできません」

「待ってください。ああいかないで――」

しかし奈尾は足早に去っていった。

からたちの生垣の外で、男はじっと耳を澄ませていた。けれども遠く去った足音が、そのまま戻って来ないのをたしかめると、舌打ちをしながら生垣を離れた。嘲けるように、もういちど舌打ちをして振り返った、するとすぐ眼の前に人が立っていた。月の光が、上からその人間の姿を照らしている、男は「あっ」と低く叫んだ、立っているのは岩田半三郎であった。男はうめいた、じりじりと後ろへ退ったが、身をひねったとみると、絶叫しながら抜討ちに半三郎へ斬りつけた。