Japanische Klassiker mit Furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Lesen Sie 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.369 Zeichen · 24 Bildschirme
いろいろな物音が、冴えかえって、はっきりときこえてきた。用人は、炭小屋の戸をあけて、
「ここへ!」といった。上野は、裸足のまま中へはいると、用人はすぐ戸をしめてしまった。
「大勢か」
「五、六十人。裏と表から」
「五、六十人!」
上野は、そんなに大勢の人間が、浅野の家来の中から、自分を討つために残っていようとは思えなかった。
「外の加勢でもあるのではないか」
「さあ」
「別に悪いことをせん人間が、喧嘩を売られて傷を受け、世間からは憎まれた上に、また後で敵として討たれるなんて、こんなばかなことがあるものか」
上野は、世間や敵討といったような道徳に、心の底からしみ出て来る怒りを感じた。
「御前、しっ、黙っていないと、見つかります」
上野は、呟くのを止めた。炭小屋の中はしんしんとして冷え渡っていた。外の人の叫び、足音は、だんだん激しくなってきた。
「本当に、浅野浪人か」
「そうらしいです」
「これで、俺が討たれてみい、俺は末世までも悪人になってしまう。敵討ということをほめ上げるために、世間は後世に俺を強欲非道の人間にしないではおかないのだ。俺は、なるほど内匠頭を少しいじめた。