Japanische Klassiker mit Furigana
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きらこうずけのたちば
吉良上野の立場
菊池 寛
Lesen Sie 吉良上野の立場 (きらこうずけのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.369 Zeichen · 24 Bildschirme
だが、内匠頭は、わしの面目を潰すようなことをしている。わしの差図をきかない上に、慣例の金さえ持って来ないのだ。これはどっちがいいか悪いか。しかし、先方が乱暴で、刃傷といった乱手をやるために、たちまち俺の方が欲深のように世間でとられてしまった。あいつはわしを斬り損じたが、精神的にわしは十分斬られているのだ。それだのに、まだ家来までがわしを斬ろうなどと、主人に斬られそこなったからといって、その家来に敵と狙われる理由がどこにあるか。まるで、理屈も筋も通らない恨み方ではないか。わしに何の罪がある。ひどい! まったくでたらめだ!」
上野介は、寒さと怒りとに、がたがたふるえながら首を振った。
物音が、少し静かになった。
「行ったのかな」
「いいえ。まだまだ」
二人は、炭俵の後方に、ちぢんでいた。雪を踏んで、足音が小屋を目指して近づいて来るのがきこえた。
十
戸が軋って、雪明りがほのかにさしこんだ。
「しまった、だめだ」と思ったとき、戸口へ火事装束らしい姿の男が現れて、槍をかまえながらはいろうとした。用人が、薪を掴んで立ち上ると、投げつけた。その男は、たちまち戸口へ飛び出すと、