Japanische Klassiker mit Furigana
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どうきょにんかふう
同居人荷風
小西 茂也
Lesen Sie 同居人荷風 (どうきょにんかふう) von 小西 茂也 (こにししげや) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.026 Zeichen · 17 Bildschirme
警察より戻りし本のなかに、先生の蔵書に非ざる小杉天外の「藤娘」と泉鏡花の「薄紅梅」あり。先生一読して小杉のは実に下手にして明治三十年より進歩なく勉強足りぬと申され、鏡花のも詰らぬ、硯友社系の連中はみな古しと云われたり。
十月三日。先生専用の奥の便所をくみとりし老爺曰く「お宅の先生はなかなかの人と聞いていましたが、落し紙だけはいい吉野紙を使っていますね」同じく家の女中曰く「あまり汚ないので見兼ねて先生のお部屋を掃除すると、あとで先生がたぴしと机をあけたてして、紛失物なきかと探し廻りおれり」と。
十月七日。読売新聞市川支局長来り、先生国府台精神病院に入院せりとの報、本社より問合せ来るも事実なりやと。先生曰く恐らくこれO家より出たるデマなるべし、虚報甚しきを以て明日新聞記者に面会し、本泥棒の詳細を発表せんと慍らる。
十月八日。読売記者先生にインタヴィユーす。先生の新聞記者に逢うは戦後はもとより、数十年振りのことなるべし。養子離籍の件、本泥棒の件、悉く先生の思い通りに運ばざるため、社会の公器をもちいてO家に復讐せんというにあり。後で先生曰く僕が昔から新聞記者嫌いなのは夏目漱石でさえ書いておれりと。