Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
尾行ける者ありと知ったのでもあろう、もう鼓を打とうとはせず、その人影は走って行った。その走り方を一眼見ると、
「しめた!」と老武士は思わずいった。
「横あるきだ横あるきだ!」
その横歩きの人影は、見る見る煙りのように消えてしまった。
「よし、あの辺は今生院だな。東へ抜けると板倉家、西へ突っ切ると賀州殿、これはどっちも行き止まりだ。さて後は南ばかり、あっ、そうだ湯島へ出たな!」
考える間もとし遅しで、老武士は近道を突っ走った。
「これ、ばか者、気をつけるがいい、何んだ、うしろからぶつかって来て」
こう怒鳴りつける声がした。湯島天神の境内であった。怒鳴ったのは侍で、ほかならぬ観世銀之丞であった。各好む道へ行こう、お前は武者修行へ出るがよい、おれは本職の能役者へ帰ると、こういって親友の平手造酒と、黒門町で手を分かつと、麹町のやしきへ戻ろうと、彼はここまで来たのであった。その時やにわにうしろから、ドンとぶつかったものがあった。
「これ何んとか挨拶をせい。黙っているとは不都合な奴だ」
いいいい四辺を見廻した。するとどこにも人影がない。
「あっ」と銀之丞は飽気に取られた。