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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

「今までうなっていたじゃないか」

※(歌記号、1-3-28)おもしろや、馴れても須磨の夕まぐれ、あまの呼び声かすかにて……

「あれ、いけねえ、またうなり出した」

※(歌記号、1-3-28)沖に小さき漁り舟の、影幽かなる月の顔……

「やりきれねえなあ、うなっていやがら」

※(歌記号、1-3-28)仮りの姿や友千鳥、野分汐風いずれも実に、かかる所の秋なりけり、あら心すごの夜すがらやな……

「オイオイ若いの。困るじゃねえか」

「なんだ貴様。まだいたのか」

「お前がうなっているからよ」

「解らない奴だ。うなるとは何んだ。これはな謡をうたっているのだ」

「ははあ、そいつが謡ってものか」

「めったに聞けない名人の謡だ。後学のために謹聴しろ」

「あれ、あんなことをいっていやがる。自分で自分を名人だっていやがる」

「アッハッハッハッそれが悪いか」

「なんと自惚れの強いわろだ」

「アッハッハッハッ、自惚れに見えるか。……さて、もう一度聞かせてやるかな」

「オットオットそいつあいけねえ。勘弁してくんな、おれが叱られる」

「おかしな奴だな。誰に叱られる?」

「旦那によ、旦那殿によ」

「なぜ叱られる。何んの理由で?」