Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
「これが世間へ洩れようものなら、どんな大事が起ころうもしれぬ。早く手当をしなければならない」――で倉皇として家へ帰った。
ようやくわかった切り髪の女
「旦那お家でござんすかえ」
ご用聞きの松五郎が、こういいながら訪ねて来たのは、その同じ日の午後のことであった。「おお小松屋か、こっちへはいれ。……どうだ、大分寒くなったな」
玻璃窓の平八は炬燵の上で、市中図面を見ていたが、物憂そうに声をかけた。
「へい、有難う存じます。ではご免を蒙りまして。おや何かお調べ物で?」
「ナーニ江戸の図面だよ。俺も近頃は暇だからな、所在なさに見ているやつさ」
「お暇は結構でございますな」「やむを得ない暇なのさ」「やむを得ないはいけませんな」
すると平八は苦笑したが、「俺もこの頃はヤキが廻ったよ。どうも一向元気がない」「いよいよもっていけませんな」「と、いうのもあの事件以来だ」「鼓賊からでございますかな?」
すると平八は頷いたが、「こう目星が外れては、俺もねっから値打ちがないよ」
「実はね、旦那。その事について、よい耳をお聞かせにあがったんで」小松屋松五郎は膝を進めた。
「ふうん、そうかい、そいつは有難いね」