Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
で、切り髪と鼓とは、深い関係がなければならない。さて、ところで、鼓の音を、二度目に俺が聞いたのは、池ノ端の界隈であった。そうしてその時は鼓賊めが、確かに鼓を打っていた筈だ。しかしいよいよとらえてみれば、能役者観世銀之丞であった。ううむ、こいつが判らない」
ここまで考えて来て平八は、行きづまらざるを得なかった。
彼の考えを押し詰めて行けば、能役者観世銀之丞が、鼓賊でなければならなかった。
「いやいや断じてそんなことはない」
ぼやけた声でこういうと、彼はトボトボとあるき出した。彼はスッカリまいってしまった。精も根も尽きてしまった。
その日も暮れて夜となった時、彼は自宅へ帰って来た。と、全く意外なことが、彼の帰りを待ちかまえていた。
碩翁様からの使者であった。
「はてな?」
と彼は首を傾げた。
役付いていた昔から、碩翁様には一方ならず、彼は恩顧を蒙っていた。役目を引いた今日でも、二人は仲のよい碁敵であった。
「わざわざのお使者とは不思議だな」
怪しみながら衣服を改め、使者に伴われて出かけて行った。
彼が自宅へ帰ったのは、夜もずっと更けてからであったが、彼はなんとなくニコツイていた。