Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

「しゃくやくの根分けもせずばならず」「喘息の手当もせずばならず」「アッハハハ、これはぶち壊しだ。もっともそういえば、しもやけあかぎれの、予防もせずばなりますまいよ」

「いよいよもって下がりましたな。下がったついでに食い物の詮議だ。ぼらにかれいにあさりなどが、そろそろしゅんにはいりましたな。鳩飯などは最もおつで」「ところが私は野菜党でな、うどにくわいにうぐいすなときたら、それこそ何よりの好物でござるよ。さわらびときたら眼がありませんな」「さといも。八ツ頭はいかがでござる」「いやはや芋類はいけませんな」「万両、まんさく、水仙花、梅に椿に寒紅梅か、春先の花はようござるな」「そのうち桜が咲き出します」「世間が陽気になりますて」――「そこで泥棒と火事が流行る」

「その泥棒で思い出した。噂に高い鼠小僧、つかまりそうもありませんかな?」ふと主人はこんな事をいった。

「つかまりそうもありませんな」

「彼は一個の義賊というので、お上の方でもお目零しをなされ、つかまえないのではありますまいかな?」

「さようなことはありますまい」客の声には自信があった。「とらえられぬは素早いからでござるよ」