Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme

Aozora Bunko

とんだものがお目にさわり、いやはやお恥ずかしゅう存じます。ナーニこれは子供時代に、柿の木の上から落ちましてな、下に捨ててあった鎌の先で、チョン切ったものでございますよ」

「町人!」と造酒は語気を強め、「これこのおれを盲目にする気か!」「これはまたなぜでございますな」「鎌傷か太刀傷か、それくらいのけじめが解らぬと思うか」

すると商人はまた笑ったが、「これはいかさまごもっともで、私のいい間違いでございました。実はな今から十年ほど前に、上州方面へ参りましたが、若気の誤りと申すやつで、博徒の仲間へはいりましたところ忽ち起こる喧嘩出入り、その時受けましたのがこの傷で」「町人!」「ソーラ、おいでなすった」「このおれを盲目にする気か!」「へえ、どうもまたいけませんかな」「十年前の古傷か、ないしは去年の新しい傷か、それくらいのけじめが解らぬと思うか」「へえ、そこまでお解りで?」「五年前の太刀傷であろう?」「恐ろしい眼力でございますなあ。仰せの通りでございますよ」「とうとう泥を吐きおったな」造酒は快然と笑ったものである。

観世銀之丞は起き上がろうともせず、畳の上へ肘を突き、それへ頭を転がしながら、面白くもないというように、ましらましらと上眼を使い、商人の様子を眺めていた。