Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lesen Sie 名人地獄 (めいじんじごく) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.286 Zeichen · 301 Bildschirme
「お見受け申せばお二人ながら、どうして立派なお武家様、私ふぜいにお宣りくださるのは、勿体至極もございません。それにお宣りくだされても、私の方からは失礼ながら、宣り返すことが出来ませんので、重ね重ね勿体ない話、どうぞ今日はこのままでお別れ致しとう存じます。広いようでも世間は狭く、そのうちどこかで巡り合い、おお、お前かあなた様かと、宣り合う時もございましょう。今は私も忙しい体、追い込まれているのでございましてな。兇状持ちなのでございますよ。それではご免くださいますよう」
こういい捨てると旅人は、二人の武士の挨拶も待たず、風のように走って行った。
鼓賊江戸を横行す
馬子の甚三の殺されたことは、追分にとっては驚きであった。驚きといえばもう一つ、油屋のお北が同じその夜にあたかも紛失でもしたように、姿を隠してしまったことで、これは酷く宿の人達を、失望落胆させたものであった。さて、ところで、紛失ったといえば、もう一つ紛失った物があった。他ならぬ銀之丞の鼓であった。それと知ると平手造酒は、躍り上がって口惜しがり、
「千三屋が怪しい千三屋が怪しい!」と、隣室の呉服商を罵ったが、なるほどこれはいかにも怪しく、同じその夜にその千三屋も、どこへ行ったものか行方が知れなかった。