Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいくんただゆき

名君忠之

夢野 久作

Lesen Sie 名君忠之 (めいくんただゆき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.683 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

「笑いなんな。あたし達の行末が、どうなる事かと思うとなあ。タッタ一度で宜えけに、あげな可愛い若殿をばシッカリと抱いて寝てみたいと思うわいな。そう思うと妾ゃ胸騒ぎがするわいな」

「ホホホホホホホ。姉さんの嫌らしさ。まあだ十四ではないかな。与一ちゃまは……」

「いいえ。色恋ではないわいな。わたしゃシンカラ与一ちゃんが可愛しゅうて可愛しゅうて……」

「オホホホホ。可笑しい可笑しい。ハハハハ……」

「ようと笑いなさい。色恋かも知れん。年寄のお守りばっかりしとると若い人が恋しゅうなる。子供でもよい。なあ七代さん。ホホホ……」

「ホホホホ。ハハハハ。アハハハハハハハ」

二人の女が他愛もなく笑い転げている真正面の細骨障子に、音もなく小さな人影が映した。脇差を提げた与一の前髪姿であった。

「まあ。与一ちゃま。噂をすれば影……」

と七代が頬をパッと染て起き上りながら、障子を引き明けた。そこには鬢も前髪もバラバラに乱した与一昌純が、袴の股立を取って突立っていた。塙代家の家宝、銀拵え、金剛兵衛盛高、一尺四寸の小刀を提げて、泥足袋のまま茫然と眼を据えていた。

「アレ。与一ちゃま。どうなされました」