Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいくんただゆき

名君忠之

夢野 久作

Lesen Sie 名君忠之 (めいくんただゆき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.683 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

「与一が幼稚時に人から聞いておりまする。左様思うて、きょうも小母様を斬りました。この家の名折れと承わりましたゆえ」

「ウムッ。出来いたッ」

と昌秋は膝を打った。両眼からホウリ落ちる涙を払い払い、暫くの間、黒い天井を仰いでいたが、そのうちにフト思い付いたように、仏壇の前にニジリ寄って線香を一本上げた。恭しく礼拝を遂げた。威儀を正して双肌を寛げた。

「与一ッ」

「エッ……」

「介錯せいッ」

「ハッ……お祖父様……待ってッ。与一を斬ってッ……」

「未練なッ……退けッ……」

右肘で弾ね退けられた与一は、襖の付根までコロコロと転がった。その間に昌秋は、袖に捲いた金剛兵衛をキリキリと左に引きまわして片手を突いた。喘ぎかかる息の下から仏壇を仰いだ。

「塙代家、代々の御尊霊。お見届け賜わりましょう。たとい私故に当家は断絶致しましょうとも……かほどの孫を……孫を持ちました……私の手柄に免じて……お許しを……御許し賜わりまするよう……」

与一は襖の付根に丸くなったまま泣き沈んでいた。

「与一ッ……」

「ハイ……ハイ……」

「介錯せい。介錯……」

「……………」

「未練な。泣くかッ」

「ハイ……ハイ……」