Japanische Klassiker mit Furigana
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めいくんただゆき
名君忠之
夢野 久作
Lesen Sie 名君忠之 (めいくんただゆき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.683 Zeichen · 32 Bildschirme
「仰せられな。コレコレ坊主、茶を持て……」
二人は宿直の間の畳廊下へ向い合った。百舌鳥の声が喧しい程城内に交錯している。
お坊主が二人して座布団と煎茶を捧げ持って来た。淵老人が扇を膝に突いた。
「して何事で御座る」
尾藤内記は又腕を組んだ。
「余の儀でも御座らぬ。御承知の塙代与九郎昌秋のう」
「ハハ……あの薩州拝みの……」
「シッ……その事じゃ。あの増長者奴が、一昨年の夏、あの宗像大島の島司になっているうちに、朝鮮通いの薩州藩の難船を助けて、船繕いをさせた上に、病人どもを手厚う介抱して帰らせたという……な……」
「左様左様。その船は実をいうと禁断のオロシャ通いで、表向きに世話すると八釜しいげなが……」
「ソレじゃ。そこでその謝礼とあって今年の春の事、薩州から内密に大島の塙代の家へ船を廻して、莫大もない金銀と、延寿国資の銘刀と、薩摩焼御紋入りのギヤマンのお茶器なんどいう大層な物を、御使者の手から直々に塙代与九郎へ賜わったという話な……御存じじゃろうが」
「存じませいでか。与九郎はこれが大自慢でチト性根が狂うとるという話も存じておりまする。つまりその薩州小判で、蓮池の自宅の奥に数寄を凝らいた茶室を造って、お八代に七代とかいう姉妹の遊女を知行所の娘と佯って、妾にして引籠もり、菖蒲のお節句にも病気と称して殿の御機嫌を伺わなん