Japanische Klassiker mit Furigana
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めいしょうまんげつ
名娼満月
夢野 久作
Lesen Sie 名娼満月 (めいしょうまんげつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.840 Zeichen · 37 Bildschirme
それだけでも来世は地獄に堕ちましょう。その中にも忘れかねましたのは、あの銀様と千様のこと。今年の花見の道中で、あのような心ない事を申しましたのも、心底からお二人様の御行末を愛しゅう思いましたればの事。早ようこのような女を思い切って、男らしい御生涯にお入りなされませと、平生から御意見申上げたい申上げたいと思いながらも、それがなりませぬ悲しい思いが、お変りなされたお二人のお姿を見上げますと一時に、たまらぬようになりまして、熱い固まりを胸にこらえながら、やっとあれだけ申しましたもの……それを、どのような心にお取りなされましたやら。それから後というものフッツリとお二人のお姿が京、大阪の中にお見えになりませぬとやら。その後の御様子を聞くすべもないこの胸の中の苦しさ辛らさ。お二人様は今頃日本のどこかで、怨めしい憎い女と思召して、寝ても醒めても怨んでおいでなされましょうか。それとも、もしやお若い心の遣る瀬なさにこの世を儚なみ思い詰めて、あられぬ御最期をなされはせまいか。これはこの身の自惚れか。思い過ごしか。罪の深さよ。浅ましさよと、思いめぐらせばめぐらすほど、身も心も瘠せ細る三日月の、枯木の枝に縋り付きながら、土の底へ沈み果てまする、わたくしの一生。