Japanische Klassiker mit Furigana
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めいしょうまんげつ
名娼満月
夢野 久作
Lesen Sie 名娼満月 (めいしょうまんげつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.840 Zeichen · 37 Bildschirme
……金丸長者様の御歎きは申すまでも御座いませぬ。この世の無常とやらを深くもお悟りになったので御座いましょう。それから間もなく、さしもにお美事なお住居をお建て換えになりまして一宇のお寺を建立なされ、無明山満月寺と寺号をお附けになりました。去るあたりから尊い智識をお迎えになりまして御住職となされ、満月どののために仰山な施餓鬼をなされまして、御自身も頭を丸めて法体となり、法名を友月と名乗り、朝から晩まで鉦をたたいて京洛の町中を念仏してまわり、満月どのの菩提を弔うておいでになりまする。先祖代々算盤を生命と思うておりまする私どもまでも、その友月上人様の御痛わしいお姿を拝みまする度毎に、まことに眼も眩れ、心もしどろになりまするばかり……」
と云ううちに松本楼の主人は涙を押えて声を呑んだ。
銀之丞も、千六も、もう正体もなく泣崩れていた。ことに播磨屋の千六は町人のボンチ上りだけに、取止めもなく声を放ってワアワアと泣出すのであった。
嵯峨野の奥、無明山満月寺の裏手に、桜吹雪に囲まれた一基の美事な新墓が建っている。正面に名娼満月之墓と金字を彫り、裏に宝暦二年仲秋行年二十一歳と刻んである。