Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

Lesen Sie 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.123 Zeichen · 643 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだ悪いとも何ともいやしない」

「いわんばってんが、顔色はよかなかごたる。先生顔色が黄ですばい。近頃は釣がいいです。品川から舟を一艘雇うて――私はこの前の日曜に行きました」

「何か釣れたかい」

「何も釣れません」

「釣れなくっても面白いのかい」

「浩然の気を養うたい、あなた。どうですあなたがた。釣に行った事がありますか。面白いですよ釣は。大きな海の上を小舟で乗り廻わしてあるくのですからね」と誰彼の容赦なく話しかける。

「僕は小さな海の上を大船で乗り廻してあるきたいんだ」と迷亭君が相手になる。

「どうせ釣るなら、鯨か人魚でも釣らなくっちゃ、詰らないです」と寒月君が答えた。

「そんなものが釣れますか。文学者は常識がないですね。……」

「僕は文学者じゃありません」

「そうですか、何ですかあなたは。私のようなビジネス・マンになると常識が一番大切ですからね。先生私は近来よっぽど常識に富んで来ました。どうしてもあんな所にいると、傍が傍だから、おのずから、そうなってしまうです」

「どうなってしまうのだ」

「煙草でもですね、朝日や、敷島をふかしていては幅が利かんです」と云いながら、吸口に金箔のついた埃及煙草を出して、すぱすぱ吸い出した、