Japanische Klassiker mit Furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Lesen Sie 呂宋の壺 (るそんのつぼ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.375 Zeichen · 36 Bildschirme
三
火を放けられたのは前敷の水主どもの炊場で、油でも撒いたのだとみえてどす黒い煙をたちあげながら、さかんに燃えている。
小早船は、はるかむこうへ離れて行ったが、まだ帆影が見える。あまり早く消すと、また焼きにくるかもしれない。小早船の帆影が波の下に沈んだところで消し方にかかった。
三
六月十八日、サンチャゴはマニラの湊に入って、河口の南に船繋りした。
吉之丞は陸使に金箱を担がせ、みなに送られて船から降りると、道路をひとつへだてた船着場の正面の客舎に宿をとった。マニラは親子二代にわたる旧縁の地で、旅亭のあるじとは知友の仲である。
一夜寝て、翌日、朝早くから壺さがしにかかった。古陶器を扱う道具屋も土師物をひさぐ市の店も、どの辺にあるかだいたい見当がついている。永藤朝春が写した真壺の図を持っている。口数をきかなくとも、だまってそれを見せれば埓があくはずである。
そうして、三日がかりでマニラ中の店を見てまわったが、鶉の斑文をつけた、あどけない葉茶壺にめぐりあうことができなかった。
呂宋人は口細の壺を好んで使うが、トンドという村にその窯がある。翌日、そこへ行ってみた。